社会の窓からこんにちわ

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【2015.04.27 Monday 】 author : スポンサードリンク | - | - | - |
地球最後の男 オメガマン◇第1回 ゴーストタウン映画祭 その1。
このブログを読んでくれるような人なら、「廃墟が好き」という人もある程度いるんじゃないだろうか。
そういうぼくも、もちろん廃墟は好きだ。

ただ廃墟といっても、寂れた建物にはさほど興味がない(それなりには好きだが)。
ぼくが気になって仕方ないのは、町全体が廃墟の状態
いわゆるゴーストタウンというやつだ。
それも、山奥の廃村みたいなひっそりした感じじゃなく、普通の町なんだけど人間が一人もいない、そんな状態に憧れるのだ。

そんな妙な嗜好の原型になったのは、おそらく中学生のときに読んだこの小説だ。

こちらニッポン…
こちらニッポン…
小松 左京


小松左京の「こちらニッポン…」という作品である。
主人公がある朝目覚めると、自分以外の人間が世界から消えてしまっている。
ほかにも消えずにいた数人の仲間たちとともに、なぜこんな事態になってしまったのかを究明する旅をはじめる……という話なのだが、当時このシチュエーションにものすごく憧れたものだ。

くり返すが、朝起きたら、自分以外の人間が消えているのだ。
なんたる自由だろうか。
映画とかビデオとか観ほうだいだし、ゲームだってやり放題だ。
腹が減ったらコンビニにでも行けばいい。
人がいなければお金も要らないし、銭湯なんか貸し切りなのだ。

列挙するだにくだらない、中学生が考えそうなバカな憧れだが、いい大人になったはずの今でも、こう書きながらワクワクしている自分がいる。
要は、世界に自分ひとりだったら、なんでも好きなことができていいのに!という、のび太レベルの願望なんだけども。


いくら憧れても、実際には起こりえないであろうこのシチュエーション。
しかし、ぼくの夢を叶えてくれる世界があったのだ。

それは映画である。

終末を描いた映画のいくつかで、憧れのゴーストタウン状態が出現しているのだ。
ここからの数エントリーは、第1回特集上映として、そんな「自分以外全員消失」映画を紹介してみたい。

まず1本目はこちら。

地球最後の男 オメガマン 特別版
地球最後の男 オメガマン 特別版
<1971年/アメリカ/99分>


スタッフ
監督: Boris Sagal ボリス・シーガル
製作: Walter Seltzer ウォルター・セルツァー
脚本: John William ジョン・ウィリアム
Joyce Hooper Corrington ジョイス・フーパー・コリントン
撮影: Russell Metty ラッセル・メッティ
音楽: Ron Glainer ロン・グレーナー
編集: William Ziegler ウィリアム・ジーグラー
字幕: 高瀬鎮夫 タカセシズオ


キャスト(役名)
Charlton Heston チャールトン・ヘストン (Nebil)
Anthony Zerbe アンソニー・ザーブ (Masyes)
Rosalind Cash ロザリンド・キャッシュ (Lisa)
Paul Coslo ポール・コスロ (Duth)

ストーリー:
細菌兵器の使用によって荒廃した世界。自ら開発した血清によってただ一人生き残った科学者は、奇怪な亡者と化した人類と闘い続ける……。リチャード・マシスンのSF『地球最後の男(I Am Legend)』の二度目の映画化作品。


この映画では、人類は細菌戦争によってほぼ絶滅している。
爆弾とかでなくウィルスで死んだわけだから、荒廃はしているものの街は無傷という、理想のゴーストタウンだ。

そんな人っ子一人いないロサンゼルスの街を、真赤なオープンカーで優雅にドライブする、主人公のネビル(チャールトン・ヘストン)。

シュワルツェネッガーではない。
助手席には自動小銃。


カーステレオから「夏の日の恋」が流れてくるのだが、終わってしまった街におよそ不似合いな、のどかきわまるこの選曲。絶妙といえる。


車が壊れたら、そのへんのカーディーラーから新しい車をいただき、映画館では『ウッドストック』を勝手に上映、貸し切り映画大会を楽しむネビル。
こんなふうに毎日過ごせたら極楽というものだが、そう上手くはいかないのが現実だ。って映画だが。

こんな世の中にも「敵」が存在するのである。
細菌兵器に感染してしまった人類がそれだ。
彼らは細菌の影響で、皮膚や頭髪や瞳が真っ白になってしまっていて、光に弱く、昼間活動することができない。
そのため、吸血鬼よろしく、夜になると起き出して活動を始めるのだ。

人類漂白化。
白くなってしまった黒人。



そうなってしまったとはいえ同じ人間で、普通に喋ったりして意思の疎通もできるわけだから、なにも敵対しなくてもよさそうなものだが、感染した人類(以下「新人類」)を束ねる男・マサイアスの思想のおかげで、彼らはネビルを目の敵にしていたのだった。

新人類は、夜ごと街に繰り出して、文明の象徴である絵画や書物を焼き払う。
文明の発展した結果がこの戦争だったのだから、人類は文明を捨てなければならないというわけだ。
そんな彼らを挑発するように、ネビルはこうこうとスポットライトで照らされた(新人類よけ)、機械文明バリバリの要塞みたいな家に住んでいるもんだから、対立は激しくなる一方。
いまではお互いに殺しあう存在となっていた。

殺しあうといっても、銃弾を惜しみなく使うネビルに対して、機械を否定する新人類たちの武器は、主に放火
ネビルの家を攻撃する際にも、
「我々の最大の武器はこれだ!」
と持ち出してきたのが投石器だったりして、人数がいるわりに劣勢を強いられる新人類軍であった。

火炎弾を放つ投石器。
新人類軍最大の攻撃。



そんなある日、街に出たネビルは、ある洋服店で若い黒人女性に出会う。
ひそかにネビルを尾行していたらしい彼女は、彼に見つかりそうになるとマネキンのフリをしたりするオチャメな女性だ。

質問画像。
クイズ:ひとりだけ本物の人間がいます。どーこだ?



……ここまで読んで「あれ?」と思っている人のためにハッキリ言っておくことがある。

ネビルはべつに「地球最後の男」ではなかった。

新人類は男も女もモリモリいるし、感染してない人類も、じつはそれなりに生き残っていたのだ。
先ほどの黒人女性・リサとその仲間たちは、感染していない少年少女たちでコミュニティを作り、山に隠れ住みながら、街の様子をうかがっていた。

ネビル以外の人類。
地球最後の男とか女とか子供とか。



そんな彼らのために、ネビルは自分の血で血清を作り、きたるべき感染を防ごうと考えるのだが、マサイアス率いる新人類は、ネビル抹殺に動き始めていた……



夢のゴーストタウンライフには、それほど重点を置いて描かれているわけではないのだが、ボンクラが観れば、数少ない描写の中に、間違いなくうらやましさを覚える映画である。

ところでクイズの回答はこちら。


回答画像。
「あ、バレてもた!」


【2005.09.09 Friday 02:32】 author : 猫パンチ | 映画 タ行 | comments(8) | trackbacks(0) |
中国超人インフラマン◇エッチな衣装とずるいヒーロー。
中国超人インフラマン
中国超人インフラマン
1975年・香港・84分


原題:中國超人 THE SUPER INFRAMAN

監督: ホア・シャン
製作: ラミー・ショウ
脚本: ニィ・クアン
撮影: ホーラン・シャン
 
出演
雷馬(レイ・マ):ダニー・リー(李修賢 リー・シュンシェン)
隊員:ブルース・リ
ソウ博士:ワン・シア
内容:(Amazon.co.jpより)
70年代、香港では日本の変身ヒーロー番組が大人気だった! その動かぬ証拠こそがショウ・ブラザースの『中国超人インフラマン』。特撮マニア感涙の伝説作がついに日本上陸。
地球征服を狙う氷河魔王が人類に宣戦布告。科学研究所のソウ所長の手で超人インフラマンに改造された隊員・雷馬(ダニー・リー)は、次々と襲い来る怪人たちを必殺技で迎え撃つ!
エッチな衣装の女ボスが君臨する秘密基地、悪の戦闘員・白骨幽霊団、巨大化する怪人、バイクに乗る主人公、イナズマン似のヒーロー…すべてが‘初めて見るとは思えない‘なつかしさ! 主演は『狼/男たちの挽歌・最終章』や『北京原人の逆襲』のダニー・リー。『五毒拳』のチャン・シェン、ブルース・リーのそっくりさんとしても活躍した小龍など、マニア泣かせのキャスティングもニクイ。‘香港カラー映画の父‘といわれた日本人カメラマン西本正の最後の仕事にして、のちに『マトリックス』にも参加したユエン・シアンジュンが武術指導を担当。(望月美寿)

【ストーリー】
地球に謎の電波と地震が多発し、科学研究所は対応に追われていた。そこへ氷河時代から地底に生息していた新地球人を名乗るプリンセス・エリジバブ(テリー・リウ)から、地球破滅の挑戦状が届く。リウ研究所所長(ワン・シア)は隊員のレイマ(ダニー・リー)を超人的パワーを持つインフラマンに改造して怪獣の襲撃に対抗しようとする。


敵の首領の名前、上記ではプリンセス・エリジバブとなっているが、資料によってかなりまりまち。DVDの字幕では氷河魔王女だし、ドラゴン・マムと表記してあるサイトもある。
日本であれば曽我町子が演じるとしっくりくるような役回りだが、名前はどうでもよく、問題は上にも書かれている「エッチな衣装」である。
実際に観てみると、首領よりも副官のほうがよりエッチな衣装を着ていた。
ではお楽しみください。

サービスカット。
エッチな衣装をエッチなアングルで。


いかがでしょうか。
男ってやあねぇというセクシャルハラスメントな感じが伝われば幸いである。


さて大畑晃一『世界トホホ映画劇場』(小学館)を読んだときから気になっていたんだが、『インフラマン』ってそもそもどういう意味なのか。
そう思って「infra」を辞書で引いてみた。

「下に」「…の内に」という意味だそうだ。
さらに用例として、以下のようなことが書いてあった。
infrahuman 人間以下の.

人以下なのか、これはいかん。
まさかそういう意味ではないと思うので、英語のわかる人、教えてください。


上記の内容紹介を読めば大まかな想像はつくと思うが、本作は、あらすじだけ読めばありふれたヒーロー物である。
しかし、あらすじに現れない部分。
実際に観なければわからない部分にこそ、この映画のキモがあるのだ。
重箱の隅をつつくとも言うが。
では実際につついていこう。


地球を我が物にしようと企む氷河魔王女は、まず幼稚園バスを襲ったあと地上に大地震を引き起こし、人類に宣戦布告する。
「地球はもらった。(中略)降伏しなければ、人類を一人残らず殺す」
といきなり無茶な要求を叩きつける彼女。
「地震など、私の力のほんの一部に過ぎぬ」
大きく出た魔王女だが、その後いかなるピンチにも地震を再び引き起こさなかったところを見ると、じつは精一杯だったのかもしれない。

いっぽう「科学研究所」というアバウトな名前の研究所では、ヅラの所長が対策に追われていた。
氷河魔王女の宣戦布告を受け、部下に命令を下す所長。
「データを集めて氷河魔王女を分析するんだ」
敵も無茶なら所長も無茶だが、こう命令されて本当に分析をやってのけてしまった所員には恐れ入る。集めたデータが見たい。

で、その分析によると、敵の氷河魔族は氷河期に地下に閉じ込められた人類ということだった。デーモン一族みたいなものといえる。
その彼らの根城・魔鬼山では、地下から怪人が続々とよみがえっていた。続々といっても7体だが。
「地球人を殺してぇ!」
とステキな台詞を叫ぶ怪人の中から2体が選ばれ、1体は研究所を襲撃、もう1体は所員の一人をさらって人質にしてしまう。

そのころ研究所では博士の手により、所員の一人レイ・マに改造手術が施されていた。
博士の開発した超人・インフラマンに生まれ変わらせるためである。
その方法は、体内に精密機器を埋め込んで、さらに特殊な動物ホルモンを注射、そこに七色の光線を浴びせるというものだ。
それはいいが、実際の手術風景はこうである。

外付け。
機械のっけただけ。


手術というより機械工作。
どう見ても設計図と全然違うものが出来上がりつつあるように思えるが、それでも無事に完成するインフラマン。
ウォーミングアップに手術室の備品を軽く破壊したあと、研究所を襲っていた植物怪人をあざやかに倒すのであった。
ちなみにとどめはスペシウム光線と同じポーズで放つ必殺技、その名も「超人ビーム」である。
単刀直入でよろしい。

続いて襲ってきたのはクモ怪人。
巨大化してインフラマンを苦しめるが、インフラマンも対抗して巨大化したため形勢逆転。発電所めがけて投げ飛ばされ(むろん発電所は大爆発)、人間大に戻って逃げようとしたところを、巨大なままのインフラマンにぶちゅっと踏みにじられて命を散らしたのであった。

ぷちっ
虫けらのごとく踏み殺されるクモ怪人。


『ハヌマーンと5人の仮面ライダー』でもそうだったが、巨大なヒーローが人間大の悪人を殺すというのは、海外では別に卑怯なことじゃないのかもしれない。

なお、このエピソードあたりから、科学研究所の所員だったはずの人たちが防衛隊的な活躍を見せるようになる。
戦闘員や怪人たちとクンフーで渡り合ったりするわけだが、中でも活躍の目立つのが、間寛平によく似た一人の男だ。

♪じゃんがじゃんがじゃんがじゃじゃ〜ん♪
あいあいー、アンガールズで〜す


この写真ではアンガールズにも見えるが、彼の名はブルース・
無数に存在する「ブルース・リーに似ていないそっくりさん」の一人で、怪作『クローン人間ブルース・リー 怒りのスリードラゴン』では、リーのクローン人間を演じていた。タイトルから伺える通り、この映画も相当すごいので、いつか紹介してみたい。


映画に話を戻すと、博士の娘をさらった氷河魔王女は、博士に一人でやってくるように要求を出す。
娘の命には代えられず、怪人や戦闘員に連れられて、悪のモーターボートで基地に連行される博士…って氷河魔族の基地はじゃなかったか。

悪のモーターボート。
魔改造されたモーターボート(へさきの部分が悪)。


とらわれた博士を救出するために、魔鬼山に総攻撃をかける研究所員たち。
迎え撃つ怪人や戦闘員との長い格闘シーンを経て、ようやくインフラマンに変身するレイ・マ。
魔鬼山の基地内で戦いを見守る博士に、氷河魔王女は得意げに解説を始める。
「インフラマンの超人ビームは太陽をエネルギーにしている。雲をおこして太陽をさえぎれば、超人ビームは使えまい!」
その言葉どおり、もくもくと雲をおこされて超人ビームを封印されてしまうインフラマン。
が、次の瞬間。

「超人キック!!」

どかーーーん。

ビームを封じたらキックが飛んできました。

超人キックの連発であっという間に片付けられてしまう怪人たち。

すごいやインフラマン(なげやり)。


残るは基地内の幹部との最終決戦だけなのだが、これ以降は、呆れるほどあっさりしたエンディングまであれよあれよの展開なので、興味のある人はここで読むより実際に観てお楽しみください。
ここまで書いてしまって「これ以降は」もなにもないわけだが。


最後にオマケ画像を2点ばかり紹介しておこう。

<インフラマン名場面集>


1:怪人たちに連行される際に博士が乗せられた、悪のモーターボート。
ズラが飛ばないか心配な博士。
「もっと詰めろよ!」 「お前が動けよ!」


非常に狭苦しいスリーショットである。
ぽかーんとした怪人の表情も捨てがたい味わいだ。


2:インフラマンの襲撃に備えて、守りを固めた魔鬼山。
万全の守り。
密集。


気持ちはわかるが、戦闘員いすぎである。
ショッカーみたいに見張りを2人ぐらいしか立てないよりはましだが。
【2005.01.21 Friday 14:46】 author : 猫パンチ | 映画 タ行 | comments(6) | trackbacks(4) |
デビルマン◇プロローグとダイジェスト。


がるるるる。
デビルマン/DEVILMAN
2004年 日本 116分


映画公式サイトはこちら

監督 那須博之
製作総指揮 泊懋
原作 永井豪
脚本 那須真知子

出演
不動明:伊崎央登
飛鳥了:伊崎右典
牧村美樹:酒井彩名
ミーコ:渋谷飛鳥
シレーヌ:富永愛
牧村のおじさん:宇崎竜童
牧村のおばさん:阿木耀子
ニュースキャスター:ボブ・サップ 他

概略(YAHOO!ムービーより)

解説: 神と悪魔の闘いを描いた日本漫画の傑作、永井豪の「デビルマン」を映画化したファンタジー・エンターテインメント。実写とCGの見事な融合で神、悪魔、人間の闘いがリアルに描かれる。孤高のヒーロー・不動明役には人気ユニットFLAMEの伊崎央登。同ユニットの伊崎右典が飛鳥了を演じる。ヒロインは『バトル・ロワイアルII【鎮魂歌】』の酒井彩名。監督は『ビーバップ・ハイスクール』の那須博之が務める。終盤にかけてのデビルマンとサタンの芸術的なまでの美しい闘いは圧巻。

ストーリー: 両親を事故で失った不動明(伊崎央登)は美紀(酒井彩名)の両親の好意により、牧村家に引き取られ幸せに暮らしていた。一方、幼なじみの了(伊崎右典)は勉強もスポーツも万能で、明にとってあこがれの存在だった。
(FLiX)

上記の「ストーリー」、そんな紹介があるかよと言いたくなるほどの、あっぱれな投げやりっぷりである。何も紹介していないとさえ言える。
あとヒロインは「美紀」じゃなくて「美樹」だ。
大丈夫かYAHOO!ムービー。


ぼくは基本的には「原作に忠実な映像化」というのを面白く思わない。
あんまり同じだと、わざわざ映像化する意味はどこに?とか考えてしまうからだ。
また、映画は映画なんだから、あんまり原作と較べるのもどうかと思う。
だから、原作付きの映画の場合は、なるべく原作を離れて観る。

そういうスタンスではあるのだが、『デビルマン』には正直、困った。
原作を知らない人にはわけがわからないだろうし、知っている人は狼狽するんじゃないかと思われる出来だったからだ。
どちらにしろダメということなわけだが、事実、ネットでは酷評・不評の嵐である。
まあ、そのおかげで観ようと思ったわけだが。

困ってばかりいても仕方がないので、今回は「単体の映画として」「漫画の映像化作品として」という2つの視点からそれぞれ書いてみようと思う。


コウモリ顔。
原作漫画版。よだれ。



まずは単体の映画としてはどうだったろうか。
なお、ここでは特にことわりがない限り、映画での設定を元に話を進めていく。


主人公・不動明と飛鳥了は幼いころからの親友同士である。
明は運動やケンカはニガテらしいが、顔つきだけは常に不機嫌そうだ。
一方の了は、明をいじめた男子の指を植木バサミでちょん切るなど、やりすぎな行動が目立つ危険人物。
明がある日、了に呼び出されて彼の家を訪れると、そこには悪魔に合体されてドロドロになった了の父がいた。
父の体内には無数の悪魔がいて、その中の「アモン」と呼ばれる一匹が飛び出し、明と合体してしまう。
しかし明はなぜか、悪魔と合体しても意識は人間のままだったのだ。

デビルマンあっさり誕生。

このへん永井豪というよりは、蛭田充版『デビルマン』の「デビル宿り木」に近いものがある。

了の父は悪魔の本体をあらわして襲ってくるが、デビルマンのパンチでたちまち死亡。
そこへたくさんの翼を生やし、神々しい姿に変身した了が舞い降りてくる。
金色にキラキラ輝きながら
「俺も悪魔に合体されてしまった」
とか言い張るが、どう見ても天使。
彼は明に
「俺たちは悪魔の体に人間の心を持ったデビルマンだ」
と宣言、続けて

ハッピーバースデー!デビルマン!」

恐るべきセリフを真顔で吐くのであった。
たった今、目の前で父親が死んでいるのだが。

案の定、映画館では笑いが起こっていた。
それは、この映画がずっとこんな調子なのかもしれないという不安を含んだ笑い声であった。
その不安は的中するハメになるのだが。

こんな調子とはどんな調子であるか。
一言で言うなら、突然につぐ突然、唐突につぐ唐突。
あらゆるエピソードがいきなり始まりいきなり終わる。


パンツ男。
テレビ版・緑色デビルマン。



明の友人を食べ、背中の甲羅にその魂を浮かび上がらせるカメの姿の悪魔ジンメンは、登場して5分もしないうちにデビルマンに殴り殺される。
死に際には
「サタンに気をつけろよ〜」
と忠告までしてくれるので、じつはイイやつだったのかもしれない。
サタンというのは悪魔のボスのことである。

次いで現れた悪魔は富永愛
いちおうシレーヌという鳥の悪魔の役だが、どっからどう見ても富永愛にしか見えないのが不思議だ。
悪魔アモンの記憶をよみがえらせようと明の前で悪魔に変身し、
「この姿を見ても思い出さないのね。殺してやる
と理不尽なことを言いながら襲いかかってくる富永。
明はデビルマンになって応戦するが、おなかを蹴っ飛ばされたために悪魔の力が抜け、人間に戻ってしまう。
止めを刺される寸前に了が登場して叫ぶ。
「シレーヌ!」
それっきり富永愛は出てこないので、何がどうなったのか不明。
了に叱られたために驚いて帰ってしまったのかもしれない。


このように悪魔がぽつぽつ出没をはじめたのを受け、事態は世界規模で動いていくのだが、明の住む町以外の出来事は全てボブ・サップの読み上げるニュースによって説明されるだけなので、緊迫感は全くない。

予算の関係なのか、この映画では、悪魔が全世界に出現したとか戦争が始まったとかいう大規模な話を直接映像にはしない
すべてニュースによる説明のみで済ませてしまっているのだ。
そこを見せてこその映画だと思うが。


やがて国による悪魔狩りが始まり、現場を見物する明と了。
そのさなか、逃げてきた悪魔が了に助けを求める。

「助けてくれ、サタン!

やけにあっさりバレた了の正体。

そのまま了は姿をくらますが、再び明の前に姿を現したときは、警官のコスプレをして一般市民を銃で狙撃したりしていた。
悪魔の王にしてはやることが過激派みたいである。

それ以前にスケールが小さい。


ここから先は結末の部分になるのでストーリーを追うことは控えるが、最後までダメな同人誌のようにふにゃふにゃしているとだけは言っておく。
脚本と演出がうまいこといってないし、それ以前に主役の演技がたまらなく壊滅的で、マイク水野とどっこいである。


じゃーん♪
ビデオアニメ版・肌色デビルマン。



映画を未見で原作を読んだことのある人は、ここまで読んでさぞ面食らったことと思う。実際に観たこちらのほうがダメージはでかいので勘弁してほしい。
ここからは「漫画の映像化作品としてどうか」という視点で見ていこう。


ちょっと前まで、長編漫画や小説を映画化するときの主流は「プロローグ」であった。原作のファーストエピソードや第1巻に当たる部分だけをとりあえず映像化するというやりかたである。
「あの長いお話をどうやって120分に収めるんだろう」
と思って観てみたら、ほんのとっかかりだけで話が終わってしまっていてガッカリ、というやつだ。

それに対して、最近はやりはじめているようなのが「ダイジェスト」だ。
こちらは、原作のエピソードをとにかく最後まで映像化しようとする。
それはいいが、脚本が詰め込みすぎで未消化なために、単にエピソードの羅列に終わってしまい、結果大雑把なダイジェストを見た気分にしかならない場合がほとんどだ。
本作「デビルマン」もそうだし、最近だと「ドラゴンヘッド」でも強烈なダイジェスト感が漂っていた。
2時間もダイジェストを見せられるのはつらいよ。

「デビルマン」に対する不満の3割ぐらいは、このババっと片付けました的かけあし脚本に対するものなんじゃないだろうか(脚本家の力不足という根本的な問題もあるが)。
ジンメンやシレーヌのエピソードは、あんな形で映像化するならいっそばっさりカットしてもよかったと思う。
もしくははじめから2部作なり3部作なりという形で製作するとか。

長い原作を完全に2時間に収めるのは無理なのだから、エピソードの取捨選択という部分で脚本家のセンスが問われることになる。
そこを失敗するとこういうことになってしまうのだ。
失敗と決めてしまっているわけだが。


俺、紫色なのかよ…
「AMON デビルマン黙示録」版・紫色デビルマン。



最後に、これから映画を観ようという原作ファン()のために、映画と原作との相違点をいくつか挙げておこう。
・了の正体が最初からバレバレ
・タレちゃんはいない
・そのかわりススムくんとミーコが活躍
・シレーヌとの戦闘は肩透かし
・ゼノンの宣戦布告〜悪魔軍団襲撃まで全てカット
・デビルマン軍団の設定もカット
・「光の球」の設定もカット
・サタン軍団VSデビルマンは一応見せる
鑑賞意欲が音を立ててしなびていくのが見えるようであるが、見なければ批評もできないので、レンタルででも観ていただきたい。

来年4月に発売予定のDVDも予約受付中らしいので、お好きな方は下記からどうぞ。

デビルマン プレミアムセット
デビルマン プレミアムセット



かえって営業妨害かもしれないが。
【2004.12.03 Friday 19:29】 author : 猫パンチ | 映画 タ行 | comments(12) | trackbacks(4) |

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