デビルマン/DEVILMAN
2004年 日本 116分
映画公式サイトは
こちら。
監督 那須博之
製作総指揮 泊懋
原作 永井豪
脚本 那須真知子
出演
不動明:伊崎央登
飛鳥了:伊崎右典
牧村美樹:酒井彩名
ミーコ:渋谷飛鳥
シレーヌ:富永愛
牧村のおじさん:宇崎竜童
牧村のおばさん:阿木耀子
ニュースキャスター:ボブ・サップ 他
概略(YAHOO!ムービーより)
解説: 神と悪魔の闘いを描いた日本漫画の傑作、永井豪の「デビルマン」を映画化したファンタジー・エンターテインメント。実写とCGの見事な融合で神、悪魔、人間の闘いがリアルに描かれる。孤高のヒーロー・不動明役には人気ユニットFLAMEの伊崎央登。同ユニットの伊崎右典が飛鳥了を演じる。ヒロインは『バトル・ロワイアルII【鎮魂歌】』の酒井彩名。監督は『ビーバップ・ハイスクール』の那須博之が務める。終盤にかけてのデビルマンとサタンの芸術的なまでの美しい闘いは圧巻。
ストーリー: 両親を事故で失った不動明(伊崎央登)は美紀(酒井彩名)の両親の好意により、牧村家に引き取られ幸せに暮らしていた。一方、幼なじみの了(伊崎右典)は勉強もスポーツも万能で、明にとってあこがれの存在だった。
(FLiX)
上記の「ストーリー」、そんな紹介があるかよと言いたくなるほどの、あっぱれな投げやりっぷりである。何も紹介していないとさえ言える。
あとヒロインは「美紀」じゃなくて「美樹」だ。
大丈夫かYAHOO!ムービー。
ぼくは基本的には「原作に忠実な映像化」というのを面白く思わない。
あんまり同じだと、わざわざ映像化する意味はどこに?とか考えてしまうからだ。
また、映画は映画なんだから、あんまり原作と較べるのもどうかと思う。
だから、原作付きの映画の場合は、なるべく原作を離れて観る。
そういうスタンスではあるのだが、『デビルマン』には正直、困った。
原作を知らない人にはわけがわからないだろうし、知っている人は狼狽するんじゃないかと思われる出来だったからだ。
どちらにしろダメということなわけだが、事実、ネットでは酷評・不評の嵐である。
まあ、そのおかげで観ようと思ったわけだが。
困ってばかりいても仕方がないので、今回は「単体の映画として」「漫画の映像化作品として」という2つの視点からそれぞれ書いてみようと思う。
原作漫画版。よだれ。
まずは単体の映画としてはどうだったろうか。
なお、ここでは特にことわりがない限り、映画での設定を元に話を進めていく。
主人公・不動明と飛鳥了は幼いころからの親友同士である。
明は運動やケンカはニガテらしいが、顔つきだけは常に不機嫌そうだ。
一方の了は、明をいじめた男子の指を植木バサミでちょん切るなど、やりすぎな行動が目立つ危険人物。
明がある日、了に呼び出されて彼の家を訪れると、そこには悪魔に合体されてドロドロになった了の父がいた。
父の体内には無数の悪魔がいて、その中の「アモン」と呼ばれる一匹が飛び出し、明と合体してしまう。
しかし明はなぜか、悪魔と合体しても意識は人間のままだったのだ。
デビルマンあっさり誕生。
このへん永井豪というよりは、蛭田充版『デビルマン』の
「デビル宿り木」に近いものがある。
了の父は悪魔の本体をあらわして襲ってくるが、デビルマンのパンチでたちまち死亡。
そこへたくさんの翼を生やし、
神々しい姿に変身した了が舞い降りてくる。
金色にキラキラ輝きながら
「俺も悪魔に合体されてしまった」
とか言い張るが、どう見ても天使。
彼は明に
「俺たちは悪魔の体に人間の心を持ったデビルマンだ」
と宣言、続けて
「ハッピーバースデー!デビルマン!」
と
恐るべきセリフを真顔で吐くのであった。
たった今、
目の前で父親が死んでいるのだが。
案の定、映画館では笑いが起こっていた。
それは、この映画がずっとこんな調子なのかもしれないという不安を含んだ笑い声であった。
その不安は
的中するハメになるのだが。
こんな調子とはどんな調子であるか。
一言で言うなら、突然につぐ突然、唐突につぐ唐突。
あらゆるエピソードがいきなり始まりいきなり終わる。
テレビ版・緑色デビルマン。
明の友人を食べ、背中の甲羅にその魂を浮かび上がらせるカメの姿の悪魔ジンメンは、登場して5分もしないうちにデビルマンに殴り殺される。
死に際には
「サタンに気をつけろよ〜」
と忠告までしてくれるので、じつはイイやつだったのかもしれない。
サタンというのは悪魔のボスのことである。
次いで現れた悪魔は
富永愛。
いちおうシレーヌという鳥の悪魔の役だが、どっからどう見ても富永愛にしか見えないのが不思議だ。
悪魔アモンの記憶をよみがえらせようと明の前で悪魔に変身し、
「この姿を見ても思い出さないのね。
殺してやる」
と理不尽なことを言いながら襲いかかってくる富永。
明はデビルマンになって応戦するが、
おなかを蹴っ飛ばされたために悪魔の力が抜け、人間に戻ってしまう。
止めを刺される寸前に了が登場して叫ぶ。
「シレーヌ!」
それっきり富永愛は出てこないので、何がどうなったのか不明。
了に叱られたために驚いて帰ってしまったのかもしれない。
このように悪魔がぽつぽつ出没をはじめたのを受け、事態は世界規模で動いていくのだが、明の住む町以外の出来事は全てボブ・サップの読み上げる
ニュースによって説明されるだけなので、緊迫感は全くない。
予算の関係なのか、この映画では、悪魔が全世界に出現したとか戦争が始まったとかいう大規模な話を直接
映像にはしない。
すべてニュースによる説明のみで済ませてしまっているのだ。
そこを見せてこその映画だと思うが。
やがて国による悪魔狩りが始まり、現場を見物する明と了。
そのさなか、逃げてきた悪魔が了に助けを求める。
「助けてくれ、サタン!」
やけにあっさりバレた了の正体。
そのまま了は姿をくらますが、再び明の前に姿を現したときは、
警官のコスプレをして一般市民を銃で狙撃したりしていた。
悪魔の王にしてはやることが過激派みたいである。
それ以前にスケールが小さい。
ここから先は結末の部分になるのでストーリーを追うことは控えるが、最後まで
ダメな同人誌のようにふにゃふにゃしているとだけは言っておく。
脚本と演出がうまいこといってないし、それ以前に主役の演技がたまらなく壊滅的で、
マイク水野とどっこいである。
ビデオアニメ版・肌色デビルマン。
映画を未見で原作を読んだことのある人は、ここまで読んでさぞ面食らったことと思う。実際に観たこちらのほうがダメージはでかいので勘弁してほしい。
ここからは「漫画の映像化作品としてどうか」という視点で見ていこう。
ちょっと前まで、長編漫画や小説を映画化するときの主流は「
プロローグ」であった。原作のファーストエピソードや第1巻に当たる部分だけを
とりあえず映像化するというやりかたである。
「あの長いお話をどうやって120分に収めるんだろう」
と思って観てみたら、ほんのとっかかりだけで話が終わってしまっていてガッカリ、というやつだ。
それに対して、最近はやりはじめているようなのが「
ダイジェスト」だ。
こちらは、原作のエピソードをとにかく最後まで映像化しようとする。
それはいいが、脚本が詰め込みすぎで未消化なために、単にエピソードの羅列に終わってしまい、結果
大雑把なダイジェストを見た気分にしかならない場合がほとんどだ。
本作「デビルマン」もそうだし、最近だと「ドラゴンヘッド」でも
強烈なダイジェスト感が漂っていた。
2時間もダイジェストを見せられるのはつらいよ。
「デビルマン」に対する不満の3割ぐらいは、このババっと片付けました的かけあし脚本に対するものなんじゃないだろうか(脚本家の力不足という根本的な問題もあるが)。
ジンメンやシレーヌのエピソードは、あんな形で映像化するならいっそばっさりカットしてもよかったと思う。
もしくははじめから2部作なり3部作なりという形で製作するとか。
長い原作を完全に2時間に収めるのは無理なのだから、エピソードの取捨選択という部分で脚本家のセンスが問われることになる。
そこを失敗するとこういうことになってしまうのだ。
失敗と決めてしまっているわけだが。
「AMON デビルマン黙示録」版・紫色デビルマン。
最後に、これから映画を観ようという原作ファン(
M)のために、映画と原作との相違点をいくつか挙げておこう。
・了の正体が最初からバレバレ
・タレちゃんはいない
・そのかわりススムくんとミーコが活躍
・シレーヌとの戦闘は肩透かし
・ゼノンの宣戦布告〜悪魔軍団襲撃まで全てカット
・デビルマン軍団の設定もカット
・「光の球」の設定もカット
・サタン軍団VSデビルマンは一応見せる
鑑賞意欲が
音を立ててしなびていくのが見えるようであるが、見なければ批評もできないので、レンタルででも観ていただきたい。
来年4月に発売予定のDVDも予約受付中らしいので、お好きな方は下記からどうぞ。
デビルマン プレミアムセット
かえって
営業妨害かもしれないが。
⇒ nike air max 90 (03/06)
⇒ pandora jewelry (03/04)
⇒ yeezy boost 350 (03/04)
⇒ yeezy boost 350 (02/28)
⇒ pandora jewelry (02/25)
⇒ pandora jewelry (02/25)
⇒ birkenstock sandals (02/23)
⇒ Takanori (10/22)
⇒ 俺だから大丈夫だ! (10/08)
⇒ ひゅーまん (04/20)