社会の窓からこんにちわ

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【2015.04.27 Monday 】 author : スポンサードリンク | - | - | - |
ユニバG物語◇俺様のジャングル大冒険。


タイトルバック。
ユニバG物語
<2002年ごろ?/日本 ジー、ユニバーサル/33分>



「わたしが、あじあを、すくう」

ビデオを挿入するなりスピーカーから聞こえてくる、このボクトツな第一声。
薬餌飲料「ユニバG」の販売や、のちに会員から資金をだまし取ったとして訴えられたことで有名な「ジー・オーグループ」名誉会長・大神源太その人の声である。

だまし取った金で何をしたかというと、フィリピンの銀行を買い取って「大神銀行(バンク・オブ・オオガミ)」と改名させたり、自分が主演の映画『ブレード・オブ・ザ・サン』を制作したりといった按配で、なんとも香ばしい人物だといえる。
会社の名前も自分のイニシャルだし、俺様度全開。

ちなみに映画『ブレード・オブ・ザ・サン』制作のおりに、自社会報に載っけたプロフィールはこうだ。

救世事業と国際貢献、世界統一を掲げるジー・オーグループ創業者。
その顔とは別に、柳生新陰流、大東流気合柔術、竹内流柔術、琉球古武術
一刀流剣術、天神真楊流柔術などを極める達人としてもう一つの顔をもつ。
救世の精神、人間本来の生き方を世界的スケールで唱え続け、日本はもとよりアジア、世界の隅々までその裾野を広げている。現在、精神主義を礎とした人生哲理と企業理念で世界をリード。カリスマ的存在からその名を馳せている。
この映画は大神会長を側面から後押しするファン、その願いに応えようとする 会長の思いが見事に重なり実現したものだ。早くも次回作が待たれ、実業界、映画界の関心が大神会長の一挙手一投足に集まっている。
世界の悪にたった一人で立ち向かい、哲理とする大儀をどこまでも貫く壮絶なシーンは、幼少の頃から磨き上げてきた古武術、柔術、日本拳法、少林寺拳法などがすべてのベースだ。あらゆる格闘技指導とその秘儀を一部の者に限って伝承している現役武道家。
ハリウッドスターのジャン・クロードヴァンダムとは個人的に親しく、「大神兄貴」と呼ばれている。


プリンセス・テンコーといい大神源太といい、こういう流れでばかり登場するハリウッドスターってのもどんなもんだろうか、ヴァンダム。
次は叶姉妹絡みとかかも知れない。

他にも触れたい部分はあるが、それは皆さんも心の中で突っ込んでいるだろうから、あえて放置して先に進む。


この『ユニバG物語』は、薬餌飲料「ユニバG」の原料であるバナバ葉。それを発見するまでの、大神源太の苦心の数々を描いたドキュメンタリー風……というか、やりすぎてコントか罰ゲームのようになってしまっているが、とにかくそういう物語である。

コントか罰ゲーム。
「うぱー!」



冒頭の第一声は、テロップとともに流れる大神源太の決意表明文の朗読だったわけだが、授業で書かされた作文みたいなテイストが味わい深いので、テロップから原文のまま全文掲載してみよう。
なお、改行や誤字もそのままである。

私がアジアを救う


私は、
国際貢献の一貫として、
貧困にあえぐ、
東南アジアの一角、
フィリピン共和国の
名も無き人々に
仕事を与えるため、


幻の天然バナバを
追い求め、
四年間の歳月をかけ、
前人未到の密林を
切り開き、
遂に、
薬餌飲料「ユニバG」を
誕生させた。


日本国は、
糖尿病、
高血圧症ならびに
肥満に苦しむ人々を救い、
そして、
フィリピン共和国を
物心両面で救済する。


私はここに誓う。
アジア人民のため、
この身が朽ち果てる迄、
一命を持って、
この身を捧げ尽くす。


私がアジアを
   絶対に救う。

これが私の国際貢献だ。


絶対に救う。
4ねん3くみ おおがみげんた。


全方位的に微妙に恩着せがましい気もするこの作文、本人は気持ちよく朗読しているのだが、いかんせん役者を名乗るには演技力がとてもアレで、スタッフもこれではいかんと考えたのか、本編にはプロの声優をナレーターに起用している。
それは誰かというと、戦国武将のような名前でおなじみの……おなじみかどうかわからないが、なんと超ベテラン声優・柴田秀勝なのだった。

柴田秀勝といえば、『マジンガーZ』のあしゅら男爵(左半分)や『銀河鉄道999』の機械伯爵、『仮面ライダーストロンガー』のゼネラルシャドウといった、恐ろしさ満点の悪役から、TV番組「旅の香り時の遊び」での優しげなナレーションまでこなす、幅広い演技力を持った人である。
ちなみに出演作品を調べるために公式HPを調べてみたところ、『ゲゲゲの鬼太郎』『ドロロンえん魔くん』ではそれぞれ閻魔大王を、『旧約聖書物語』『太陽戦隊サンバルカン』ではそれぞれを演じていた。
天国のトップから地獄の偉い人まで。
幅が広いにもほどがあるといえるが、めったなことを書くとバチを当てられそうな気もするので、ひたすら褒め称えるに留めたい。

……脱線したが、そのような本格声優を投入してどうなったかというと、ことわざで言うなら「動物に貴金属」系の結果。つまり、かえって本編の軽さというか薄さが際立つ結果になってしまっているのであった。

えー、ナレーションひとつでここまで話が長くなるとは正直ぼくも驚いたが、さてここからいよいよ本編である。



ヘリによるフィリピンの空撮で幕が開く本作。
バラバラバラバラというプロペラ音に、勇壮なテーマ曲がかぶさり……って、流れ始めたのは「ロッキーのテーマ」の音程を微妙に変えただけの、ビル・コンティやスタローンには絶対に聴かせられない曲だった。
ラトルズ的な意味で言えば、面白い曲ではあるんだけども、ふつうは聴いたら腰を抜かすと思う。

ユニバーサル映画、ではなく。
…………「G」。



そのヘリに乗っているのは、もちろん我らが大神源太名誉会長だ。
向かった先はフィリピンの高校。
校庭にヘリで乗りつけたミリタリールックの怪人物のことを、現地の高校生たちが内心どう思っていたのかはわからないが、ともかく彼らに熱烈な歓迎を受ける大神。
絵的には、地元にお金を落とすのと引き換えに接待を受ける政治家みたいな図であるが。

この上ない怪しさ。
怪人物。



「ユニバG」の原料となる、フィリピンにしか自生していないという幻のバナバ葉を求めてやってきた大神一行は、接待を受け終えると再びヘリでジャングルの奥地へと向かう。
ここからがこの作品の醍醐味というか、おいしいところがいっぱい詰まっている部分である。


幻の天然バナバを求め、ジャングルの道なき道を、常識はずれの軽装で進む大神一行。

毒蛇、来るなら来い。
軽装。



さほど急でもない坂を、さも崖のように命綱をつけて(しかもスローモーションで)下ったり、幅1メートルもなさそうな溝を派手な音とともに(しかもスローモーションで)飛び越えたりしながら、一同はもくもくと歩き続ける。
途中、木の枝に絡まるヘビなども現れるが、この部分は別のところから持ってきたフィルムを挿入しているだけなので安心だ。

ところがそんな画面にかぶさるナレーションは
「毒虫、大蛇、野生動物など、障害の連続」
「この日のために鍛えた体。そして気力」

といった調子で、もはや笑わせようとして作っているとしか思えない事態になっている。


そんな小学生の大冒険ごっこみたいなことを重ねつつさらに進むと、林の影から一行の様子をうかがう怪しい人物があらわれる。
何も知らずに進む大神源太たちの前に、突如飛び出す数人の男!

身構える大神源太!

と、大神一行の一人が進み出て、男たちの一人と握手。
じつは仲間だったようです、ってなんだそれは。
派手に飛びのいて構えた手前、大神源太も心なしか恥ずかしそうであった。

微妙な表情。
「紛らわしいよナ……」



新たに仲間に加わった男たちの案内でキャンプを張った大神一行。
そして翌朝。

大神きんにくん。
ゴゴゴゴゴゴゴゴ。


何やってるんですか名誉会長。

そこには、朝もやの中、パンツ一丁で無意味なポージングを決める大神源太の姿があった。
ひとしきり筋肉を披露しても彼の暴走は止まらず、そのまま腕立て伏せ、次いでジャングルをランニング、さらに木の枝で懸垂……これらすべてをパンツ一丁姿でおこなっていたんだけども、もしかしたらサービスカットだったのか。

誰に。

朝の単独行動を終え、キャンプに戻ってきた大神源太は、待っていたスタッフにズバリ一言。

「服もってきてくれ」

服の到着を待つ間、別のスタッフがお茶を差し出した。
大神源太は、そのお茶を見てまたも一言。

「ああ、ユニバGか」

いや、そのお茶の原料を探すために、いまここにいるんじゃなかったのか。
そんな根本的な矛盾をものともせず、うまそうにユニバGを飲み干す大神名誉会長。
PRという名のSFが展開されたワンシーンであった。

やがて服をかっこよく装着した大神源太は、一同に向かって棒読みの号令をかける。

「よし、今日こそは絶対に見つけるぞ。レッツゴー!

21世紀にもなってレッツゴーというのは大目に見るとして、名誉会長が昨日よりさらに軽装なのは、誰か注意してあげないといけないんじゃないか。

「レッツゴー!」
さらに軽装。



2日目になっても大冒険ごっこのテイストは相変わらずで、岸があるのにわざわざ川の中を歩いたりする大神源太。付き合わされる他の人たちもたいへんだ……と思っていたら、流れに足を取られてヨロける名誉会長。いわんこっちゃない。

燃える大神源太。
「でも、やるんだよ!」



と、そこにすごい勢いで走ってくるワニが!

しかし、これも昨日のヘビと同じく、まったく別の映像なので安心だ
案の定、ワニはそのまま池にぼちゃんと駆け込んでそれっきりであった。
こんな投げっぱなしなサスペンスシーン、めったにお目にかかれないと思われる。

そんなこんなで、ようやく目的地にたどり着く大神たち。
そこへ、またも大嘘を重ねるナレーション。

「ジャングルに入って、すでに2週間……

言いすぎである。
どう見ても1泊しかしてないだろう。
「遂に私たちは、幻のバナバ葉を見つけ出した!」
おめでとう、名誉会長!
と言いたいところだが、その現場ではすでに葉っぱの収穫作業をしている人がわんさといるのであった。
ロケのときぐらい人払いしてはどうか。


ところでこの作品、最後に「ユニバG」CMのメイキング風景が収められている。
噂のジャン・クロード・ヴァンダムを迎えたその撮影風景にかぶさるナレーションでは、
「私の救世事業に貢献したいという意欲を持つヴァンダムは……」
と、冒頭の全方位的な恩着せがましさを再び味わうことができる。

金ピカ先生。
すばらしいスーツをまとった名誉会長。



「ユニバG、ヤー!」
と叫ぶヴァンダムの姿も痛々しい完成CMを収録してこの作品は終わるのだが、ここで流れるエンディングテーマは、またしても「アイ・オブ・ザ・タイガー」を微妙にパクったような曲なのだった。
最後の最後まで、抜かりないといえば抜かりない出来だったといえる。


ところでこの作品。
どうしてぼくの手元にあるのかというと、ゴミとして捨てられていたのを拾ったのだ。
捨てた人の気持ちもわからなくはない。
【2005.11.04 Friday 23:02】 author : 猫パンチ | 映画 ヤ行 | comments(6) | trackbacks(1) |
予言◇ゴールドエクスペリエンス・レクイエム。
予言 プレミアム・エディション
予言

2004年/日本/95分


監督:鶴田法男
原作:つのだじろう
脚本:高木登 、鶴田法男
音楽:川井憲次

出演:
三上博史 、酒井法子 、堀北真希 、小野真弓 、鶴水瑠衣

ストーリー: 里見英樹(三上博史)は、妻・綾香(酒井法子)と娘とともにドライブ中に、電話ボックスで古びた新聞を見つける。そこに掲載されている記事に目を通すとそれは自分の娘の死亡記事だった。
(FLiX)


主人公の名前「里見英樹」って時代劇俳優みたいだ。
あと余談ついでに、ジャケット写真にも採用されている耳なし法一のような写真だが、本編とはほとんど一切関係ない。ホラー映画ではよくあることだ。


人の死や事故など、不幸を予言する新聞が舞い込んでくる……というあらすじを聞いたとき「恐怖新聞みたいな話だな」と思ったが、ほんとうに原作が「恐怖新聞」であった。
じゃあ『予言』じゃなくて『恐怖新聞』でいいじゃないのと思うが、大人の事情があったのか。

内容も、一応つのだじろうの「恐怖新聞」を下敷きにしているものの、設定などはオリジナルといっていいほど大幅に改変されていて、原作を知っていても充分新作ホラーとして楽しめる映画になっている。
じゃあ「恐怖新聞」を原作にしなくてもいいんじゃないのと思うが、大人の……ってしつこいですか。

ちなみに原作との接点は、不幸の予言をする新聞の名称が「恐怖新聞」だということと、「鬼形礼」という原作の主人公と同名の人物が登場するということのみ。
ちなみに本作の鬼形礼は、筒井康隆ふうのおっさんであった。


恐怖新聞にとりつかれた三上博史が、死の運命に抗うために、妻・酒井法子とともに新聞の謎に迫っていくという、ちょっと『リング』にも近いものがあるストーリーである。
と思っていたら、クライマックスでいきなりゴールドエクスペリエンス・レクイエムが発動したので驚いたが。
郵便受けからニュッと出てきたと思われる。
何のことかわからない人は、漫画喫茶ででも「ジョジョの奇妙な冒険」第5部を読んでいただきたい。


予告編での三上博史の
「きゃーーーっ!きゃぁーーーっ!」
という少女のような悲鳴が印象的だった本作は、同時上映の『感染』とは異なり、見せるところはバッチリ見せる方針で作られている。
そのため、焼け焦げた少女とか、芋虫人間とか、小野真弓の顔面がパックリとか、けっこうビジュアルショックも多めなので、そういうのが苦手な人はご注意を。
逆に、そういうのが好きな人には満足のいく映画だと思う。
それはぼくだが。

あと、ごく軽めだが、のりピーのベッドシーンも一応あり……って21世紀にもなって「のりピー」って単語を書くとは思いませんでしたな。




【2005.04.07 Thursday 23:08】 author : 猫パンチ | 映画 ヤ行 | comments(8) | trackbacks(2) |

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