ショーン・オブ・ザ・デッド
2004年/イギリス/100分
監督 エドガー・ライト
製作総指揮 ティム・ビーヴァン 、エリック・フェルナー 、アリソン・オーウェン 、ナターシャ・ワートン 、ジェームズ・ウィルソン[製作]
脚本 サイモン・ペッグ 、エドガー・ライト
音楽 ダン・マッドフォード 、ピート・ウッドヘッド
出演 サイモン・ペッグ 、ケイト・アシュフィールド 、ニック・フロスト 、ディラン・モーラン 、ルーシー・デイヴィス
ストーリー(Yahoo!ムービーより):
ロンドンに暮らすショーンは、いい歳して人生の目標や目的を持たぬまま、仲間たちとパブに入り浸るばかりの冴えない毎日を送っていた。そんな彼に長年の恋人リズもついに愛想を尽かしてしまう。このままではいけないと自覚したショーンは、リズとヨリを戻すため、これまでのだらしない生活を改めようと決意する。ところが、ショーンが恋人のことで頭がいっぱいになっている間に、街にはゾンビが溢れ、生きた人間を次々と襲っていたのだった…。
実年齢30そこそこなのに、40代くらいに見える主人公・ショーン。
友達と言えば、働きもせずにいつも家でゴロゴロとゲームばかりしているエドぐらい。
彼女はいるものの、いつも行く場所は場末のバー「ウィンチェスター」ばかりで、ろくにちゃんとしたデートもしないため、ついに三くだり半を突きつけられてしまう。
自堕落な日常を送り、職場では10も年下の後輩に馬鹿にされ、義父とは反りが合わず……と、人生まったく八方ふさがりなショーン。
何とかしなきゃいかんと思いつつ、でもそれは明日からやろうと、ついつい先送りにしてしまう日々。
ぼくも含めて、
ボンクラとかロクデナシとかニートとかダメ人間とか呼ばれる層に属する男なら、身につまされること間違いない主人公の境遇である。
これは、そんな彼が迎えた、人生一発逆転チャンスの物語だ。
本作は、よく「ホラーコメディ」といった紹介の仕方をされることでわかるように、たしかに笑いを誘う場面は多い。
が、物語の根幹は、そのへんのスプラッタに較べて実にまっとうなものだ。
愛する人との別れ、極限状況での人間ドラマなど、押さえるところはしっかり押さえて、しかも笑いも取っている。
好きな人が作ったんだなぁと、観ていてしみじみ思わされた。
いつの間にか町の人々が歩く死人と化していき、そこらじゅうをうろつき始める。あちこちで悲鳴やら血しぶきやら上がっているのだが、
周りに無関心なショーンやエドは、はじめまったくその異変に気付かない。
死人にまとわりつかれても「うるさいな」と押しのけて、平気で町を歩いたりしている。
自宅の庭に連中が侵入して、ようやく世界の異常に気がつく2人。
ここからいよいよショーンの
人生逆転のシナリオが動き始める。
この危機を乗り越えるため、ショーンとエドの立てた計画はこう。
庭の連中を撃退し、母親を救いだし、(もと)彼女を連れて、バー「ウィンチェスター」で一杯やりながら騒ぎが収まるのを待つ。
完璧な計画だ。
ただし、
いかにもボンクラが考えそうな。
彼女とよりを戻すため、死に物狂いでミッションをこなしていくショーン。
もともとがダメ人間だし、エドはまったく緊張感がないしで、必ずしも思い描いた白馬の騎士のようではないけれど、間の抜けた姿をさらしながら、しかしショーンは窮地を全力で潜り抜けていく。
ネタバレになるので詳しくは書かないけども、義父や母、友人との最期のやり取りを経て、いつしかショーンは
頼もしい男に変わっていた……。
と、キレイに締められればいいのだが、
そんなに素直じゃないのはさすがイギリス映画といえる。
ここまで見てきた視点では、笑いと感動の人間ドラマに思える本作。
そういうぼくも途中までは
「これはダメ人間のための映画だ!」
と思って観ていたわけだが、エンディングを観て考えが変わった。
ここからはぼくの
妄想に近い深読みなので、「そうとも取れる」ぐらいに考えながら読んでいただきたい。
映画を観た人は思い出してほしいが、この物語の最後、ショーンの手に残ったものと、ショーンから失われたものはなんだったろう。
残ったものは、自堕落な自分のままで受け入れてくれるガールフレンドと、トラブルを起こすことのなくなった友人。
失ったものは、折り合いの悪い親と、彼女をそそのかして自分と別れさせようとする連中。
頼もしく成長するかと思われたショーンは、邪魔者も消え、結局
いちばん居心地のいい環境を手に入れて、ますます自堕落に磨きがかかっただけなのだ。
このエンディングはハッピーエンドなのか、そうではないのか。
少なくとも、ショーン自身にとっては(ということは、ショーンに感情移入していた観客にとっても)、
これ以上ないハッピーエンドなのだが。
そう考えると、要所要所で必ずショーンに都合よく展開していくストーリーも、「この映画もしかしたら全部ショーンの妄想なのかもしらん」とも思えてくる。
製作者が
「映画だから」と割り切ってそういうストーリー展開にしたのか、もしくはもっと意地悪な視点が隠されているのか、それとも
製作者自身がショーンみたいな人なのか。
我ながら深読みが過ぎる気がしなくもないが、単にホラーコメディで片付けるには、あまりにしっかりと作られた映画だったので、ちょっと妄想してみた。
とはいえ、気軽に観てもじゅうぶん面白い映画なので、残酷描写(終盤にショックシーンあり)に抵抗のない人はぜひ観てみてほしい。
お気に入りは、庭に侵入した連中にレコード投げて応戦するシーン。
捨てたり売ったりするにはしのびないが、ああいう場面でなら思い切って投げたいレコードというのは確かにある。
ぼくなら
『ラ・ブーム2』のサントラLPとかを投げると思う。
なおこのエントリーに関しては、本編中でくどいほど
「ゾのつく単語は使うな!」
と叫ばれていたので、その単語は避けて書いてみた。
<追記@2006年1月18日>
本作の監督エドガー・ライトとショーン役のサイモン・ペッグが、そろって
『ランド・オブ・ザ・デッド』にエキストラ出演を果たしたらしい。本家ロメロ監督の映画に出演できて本望だと思われるが、その役柄は
ゾのつく単語なのであった。
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