吸血鬼ゴケミドロ
1968年/日本(松竹)/84分
スタッフ
監督: 佐藤肇 サトウハジメ
製作: 猪股尭
脚本: 高久進
小林久三
撮影: 平瀬静雄 ヒラセシズオ
音楽: 菊池俊輔 キクチシュンスケ
美術: 芳野尹孝 ヨシノノブタカ
編集: 寺田昭光 テラダアキミツ
録音: 中村寛 ナカムラヒロシ
スクリプター: 小尾健彦
照明: 青木辰夫 アオキタツオ
キャスト(役名)
吉田輝雄 ヨシダテルオ (杉坂英)
佐藤友美 サトウトモミ (朝倉かずみ)
北村英三 キタムラエイゾウ (真野剛造)
高橋昌也 タカハシマサヤ (佐賀敏行)
キャシー・ホーラン (ニール)
高英男 (寺岡博文)
加藤和夫 カトウカズオ (百武)
楠侑子 クスノキユウコ (徳安法子)
山本紀彦 ヤマモトノリヒコ (松宮)
金子信雄 カネコノブオ (徳安)
西本裕行 ニシモトヒロユキ (機長)
解説
「キャプテンウルトラ」の高久進と、
「若社長レインボー作戦」の小林久三が共同でシナリオを執筆し、東映の佐藤肇が他社で演出したSFもの。撮影は「男の挑戦(1968)」の平瀬静雄。
ストーリー(キネ旬DBより)※ストーリーの結末まで記載されていますので、ご注意ください
羽田を飛び立ったジェット機が、奇怪な現象に遭遇して岩山に不時着した。副操縦士杉坂、スチュワーデスのかずみ、次期総理候補真野、精神科医百武、ニール、徳安と法子夫婦、生物学者佐賀、自殺志願の青年松宮が生き残った。
そしてもう一人、昏睡状態だった寺岡が突然、起き出した。彼は外国大使を暗殺して逃亡中だったのだが、間もなく青白い光体に吸い込まれ、顔面を細菌状の物体に犯されてしまった。そして吸皿鬼に変貌したのである。
これは、血液を常食としている宇宙生物ゴケミドロが、食糧源を求めて地球に現われたのだ。寺岡は吸皿鬼に変貌した時は、平常の顔に戻っていた。
やがて一行の許に戻ってきた寺岡によって、次々と犠牲者が出た。血を吸いとられた百武が、粘土のように変色した死体となって発見されたのが手始めだった。徳安が次に殺された。つづいて法子もゴケミドロに犯されていった。
事態を知った一行の間に、恐怖感が芽生え、発狂した松宮は自ら時限爆弾を仕掛けて吹っ飛んだ。そして、真野はニールと共にその岩山から逃亡した。だが、ゴケミドロは二人を襲い、ニールが死んで真野が戻ってきた。
一行は間もなく吸血鬼が寺岡と知り、すぎを見て杉坂は吸血鬼にガソリンを浴びせ火をつけたのだ。しかし火炎に包まれた吸血鬼の体内からゴケミドロが這い出したのを、誰も知らなかった。ホッとした一行だったが今度は佐賀が吸血鬼になって真野を殺したのである。
杉坂とかずみは、何とかその場所を逃げ出し、ある村に辿り着いた。しかし、その村にもゴケミドロの魔手がのびていた。生き残った二人は、全世界がゴケミドロによって征服されようとしているのを思い、慄然とするのだった。
『後家みどろ』と漢字+ひらがなで書くとピンク映画の題名のようだが、無論そういう映画でなくて、SF恐怖映画である。
毎回引用していて思うのだが、キネ旬DBのストーリー解説、重宝なのだが非常に読みづらいな。
「再生した映画の内容を読み取って、自動的にあらすじを記述してくれるソフト」というのがあったとしたら、きっとこんな感じだと思う。
今回はてきとうに改行だけ入れてみた。
解説にもある通り、東映の佐藤肇が撮った松竹映画である。
しかし
「若社長レインボー作戦」ってどんな映画だ。
この題名を見て、
若社長が七変化しながら大活躍するスパイ映画を勝手に想像しているわけだが、実際はクレイジーキャッツのサラリーマン映画を地味にしたような感じなんじゃないだろうか、多分。
話を戻すと、東映と松竹が
精神的に合作したといえる本作。
そのため、両社の特長的な部分が上手くかみ合った、ちょっと変わったテイストの仕上がりになっている。
東映的な人間描写の
くどさ。
松竹的なカッチリ作られた特撮やセット。
ちなみに特撮には、かの
ピー・プロダクションも参加している。
略称ピープロ。『マグマ大使』『怪傑ライオン丸』『電人ザボーガー』『宇宙猿人ゴリ(スペクトルマン)』など、大胆かつ斬新かつ独特な作品を提供し続けた会社である。
アクの強い、手作り感満点の作風が非常に素晴らしく……と語りだすとキリがないから、知りたい人はとりあえず上記作品のどれかを観てみてください。
そんなピープロ魂がしっかりと注入された『吸血鬼ゴケミドロ』、まずは珠玉の特撮シーンを見ていただこう。
『キル・ビル』に影響を与えたとの噂が。
アダムスキー型空飛ぶ円盤。
『マーズ・アタック!』に影響を与え(略)
特撮好きの人は、この写真を見ただけで観たくなってしまうかもしれないが、実際の内容は比較的地味。『マタンゴ』あたりを想像してもらうと近いかもしれない。
空とぶ円盤とニアミスした旅客機が、計器故障のため山中に不時着。
かろうじて生き残った数人に、吸血宇宙生物ゴケミドロが襲いかかる……というのが物語の流れ。
ここで生き残った連中が一致団結して頑張る、
というふうにならないのが、この映画の味だ。
なにしろ
乗客に金子信雄がいるのである。
金子信雄といえば、『仁義なき戦い』で自己保身とワガママと謀略を最大限に発揮して、登場人物たちの信頼関係をズタズタにした実績を持つ男。
そんな男が今回は国会議員の腰ぎんちゃくとして登場する。
意地悪な教頭先生的役どころで小悪党ぶりを見せつけるかと思えば、のどの渇いた国会議員に親切を装ってウイスキーを与え、あとで余計のどが渇く様をニヤニヤしながら眺める裏切りも披露。
「の、ノドが渇くぅ!」「へーぇ(ニヤニヤ)」
人間関係の破壊といえば、金子信雄の親分である次期総理大臣候補・北村英三も強烈だ。
「わしゃぁ早く帰りたいんだ!」
と無謀な脱出行を主張して場をかき乱したり、劇中で二度吸血鬼に襲われるのだが、そのたびに手近な人間(女性含む)を
「お前が死ねぇい!」
と吸血鬼の前に突き出したりと、エゴの醜さを象徴するやりすぎ行動の数々で、観客の憎悪を一手に引き受けて見せた。
が、他の生存者がまともかといえば決してそんなことはなく、身勝手だったり壊れていたりする人間がほとんどだ。
精神分析医だといいながら、
「外には
人殺しがいます」だの
「あなたも
墓を掘りなさい」だの、口を開けば不吉なセリフばかり発して一同を
ワザとパニックに陥れる加藤和夫。
医者というより患者。
大学で
宇宙生物学を研究する冷静な科学者・高橋昌也は、ゴケミドロの存在を知るや、手のひらを返すように
「吸血シーンが見たい」
と他の生存者をゴケミドロの前に放り出す始末。
夫をベトナムでなくした戦争未亡人のキャッシー・ホーランは、はじめのうちこそ
「戦争はいけない」
と
マイク水野みたいなことを言っていたが、銃を手にしたとたんに
「私は死にたくないのよ!」
とスタコラ脱走。
途中でゴケミドロに襲われ、同行していた北村英三の裏切りにより、血を吸われて死んでしまう。
『シベリア超特急』に影響(略)
恐怖感を盛り上げる目的もあろうが、人格者に見えた人間も土壇場で豹変したりして、製作者の
人間に対する絶望がうかがえるキャラクターばかりが集結。
まとまりのない生存者たちは、一人また一人と命を失っていくのであった。
で、その命を奪っていくゴケミドロ。
これはアメーバ状の生物で、人の脳にズルリと入り込んでその人間を乗っ取り、他人の血を吸うのだ。
これがゴケミドロだ!
そのゴケミドロに寄生されるのが
高英男である。
この映画はSF恐怖映画だが、その「恐怖」の部分を
独占するのが彼だ。
映画が怖いのではなくて、高英男本人が怖い。
なにしろ寄生される前からこんなである。
友近を人質に取る高英男。
ちなみに本業は、紅白にも出場した柔らかな美声のシャンソン歌手であるが、東映の映画にも数本出演。
演じるのはなぜか殺し屋など
爬虫類系の冷血キャラが多く、本作でも暗殺者という設定だ。
宇宙生物に寄生されて、吸血鬼になってしまう暗殺者。
こう書くとコントかと思うような設定だが、それを恐怖の枠にとどめているのは、やはり高英男のキャラの力だといえる。
闇夜のシャンソン歌手。
こんなシャンソン歌手が実際にいたら怖いが、って
実際にいるのだから世の中は広い。
なお、ゴケミドロは吸血対象にこだわりはないらしく、北村英三はじめ、脂ぎった中年男性たちの首筋にも迷うことなく吸いついていく
チャレンジ精神を見せた。
絵ヅラ的には
フケ専ビデオといえるが、「吸血はセックスの隠喩である」という有名な説もあるので、その趣味のある人は
そういう見方で活用していただきたい。
血の吸い方は、西洋の吸血鬼のようにはしたなくかぶりついたりはせず、唇を当ててエレガントに吸う。
ちゅーっ 「きゃーっ」 ワナワナワナ
その結果、なんか
水木しげるっぽくなっているわけだが。
鼻息とか書き込むと、よりそれらしく見えると思う。
フハッ。
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