ビキニの悲鳴
1965年/アメリカ/70分
原題1:The Beach Girls and the Monster
原題2:Monster From The Surf
別邦題:ビーチガールと怪物
監督:Jon Hall
原作・脚本:Joan Janis (as Joan Gardner)
脚本補:Don Marquis, Robert Silliphant (as Robert Siliphant)
プロデューサー:Edward Janis
音楽:Frank Sinatra Jr.
撮影:Jon Hall
編集:Radley Metzger (uncredited)
美術:Shirley Rose
特殊効果:Robert Hansard .... special effects (as Bob Hansard)
出演:
ジョン・ホール Jon Hall:オットー・リンゼイ博士 Dr. Otto Lindsay
スー・ケーシー Sue Casey:ヴィッキー・リンゼイ Vicky Lindsay
アーノルド・レッシング Arnold Lessing:リチャード・リンゼイ Richard Lindsay
エレーン・デュポット Elaine DuPont:ジェーン Jane
ウォーカー・エドミッソン Walker Edmiston:マーク Mark
リード・モーガン Read Morgan:マイケルズ保安官 Sheriff Michaels
キャロライン・ウィリアムスン Carolyn Williamson:スー Sue
グロリア・ニール Gloria Neil:バニー Bunny
トニー・ロバーツ Tony Roberts:ブラッド Brad
クライド・アドラー Clyde Adler:スコット副保安官 Deputy Scott
デイル・デイヴィス Dale Davis:トム Tom
キングスレイ・ザ・ライオン Kingsley the Lion:本人 Himself
'60年代あたりのアメリカ映画には「ビーチパーティーもの」というジャンルがあった。
内容はどれも全て
「恋だ!水着だ!サーフィンだ!!テケテケテケテケ♪」で言い表せてしまうような、浜辺で若い男女がイチャイチャしたりすったもんだしたりする映画たちである。
日本で言うと加山雄三の『若大将シリーズ』を安くしたみたいな感じか。
当時のあちらの若者たちは、そういう映画をドライブインシアター(広場のスクリーンに映画を映す青空映画。むろん夜にしか上映できない。客は自分たちの車を整列させ、乗ったまま映画を観る横着なシステム)で観て盛り上がっていたと思われる。
それだけ若者に受けがいいんなら、たまには別の要素をミックスしてみたらもっとウケるかも!
と製作者が考えたかどうかわからないが、本作はビーチパーティーものの土俵にモンスターを持ち込んだ、異種格闘技のような1本だ。
映画は軽快なサーフィン・ミュージックとともに幕を開ける。
タイトルバックの映像ももちろんサーフィン。波に乗る若者や波に乗る若者、
そしてまた波に乗る若者などが次々と映し出され、早くも何の映画を観ているのかわからなくなってしまう。
ちなみに音楽はフランク・シナトラJr.(ナンシー・シナトラの弟)だ。
さて昼ひなかから浜辺でビーチ・パーティーに興じる、主人公リチャードら6人の男女。パーティーと言ったってサンドイッチを食べながらゴーゴーを踊るような他愛もないものだが、そうしてじゃれあううちに、追いかけっこなどはじめる1組のカップル。
「つかまえてごらんなさーい」
「まてーぇ」
そんな感じで。
追いかける男のほうは早々に脱落するのだが、女は調子に乗って、遠くの岩陰まで逃げていく。
そこは洞窟の入り口になっていて、身を隠した彼女は彼氏の様子をイタズラっぽく観察するのだった。
と、彼女の背後に
よろよろと迫る黒い影。
それは、『恐怖の洞窟』の怪物に昆布をまきつけたような風体の、ぬいぐるみ感丸出しの、謎の生き物であった(ジャケット写真参照)。
明らかに目立つ生き物が迫っているにもかかわらず、
一向に気付かない彼女。
両手をかざし、亀のようにノロノロ迫る怪物!
そのまま
背後30センチぐらいまで近づかれ、ようやく気付く彼女だったが、時すでに遅く、怪物につかみかかられてしまう。
さて、本作の登場人物たちの特徴として挙げられることに、
「とにかく鈍い」ということがある。
この場合も、主人公たちと彼女の距離はせいぜい数十メートルぐらいのものだと思われるが、そんな近くで絶叫している彼女の声が届かないのだ。
リチャードたちがのんきにギターを弾いたりしているうちに、彼女は絞め殺されてしまう。
怪物は怪物で、彼女を殺害すると、再びよろよろと洞窟に戻っていくのであった。
何をしたかったのか。
やがて彼女の死体が見つかり、保安官マイケルズが駆けつけてくる。
遺体周辺を調べると、怪物のものと思われる謎の足跡が見つかるが、それは海へと消えていたのだった。
ガールフレンドが殺され、とぼとぼ家に戻るリチャードを待ち受けていたのは、父
オットー博士のお小言であった。
海洋学の権威である博士は、息子リチャードが最近研究にも協力せずに浜辺でちゃらちゃらしているのが不満でならないのだ。
「立派な学者になってから、いくらでも遊べばいいじゃないか」
と諭す父と、
「青春はいまだけなんだから、いましかできないことを楽しみたいんだ」
と反論する息子。
進路を決めるような時期になると、たいがいのご家庭で見られるような風景であるが、この親子もごたぶんに漏れず物別れに終わる。
父に叱られたリチャードは気晴らしに、居候している友人マークを誘ってサーフィン・フィルムの上映会を行うことにした。
このマークというのは、以前リチャードの運転する車に乗っていて事故にあい、片足が不自由になってしまった男だ。責任を感じたリチャードが、彼の世話をするために家に住まわせているのだが、それで
マークほったらかしてビーチパーティーなどやってたら、そりゃあ親父も小言をくれると思う。
それはともかく、ここで
「サーフィンは最高だぜ」
とか言いながらリチャードが上映する8ミリフィルム。
これが
たっぷり5分間にわたり、音楽に乗せたサーフィン映像が流れるだけなのである。
しかもこれはどこかで観たと思ったら、
タイトルバックの映像と同じフィルムだ。
そのころ父オットー博士のもとには、マイケルズ保安官が訪れていた。
浜辺で見つけた足跡を鑑定してもらうためだ。
石膏で固めた足型をしげしげ眺め、
「このへんの魚じゃないね」
と断定する博士。
このへんといわず、足跡があったらそれはふつう魚じゃないが。
「南米に住む、50kgもある肉食性の魚に似ているよ。それがもし、
突然変異を起こせば……」
なんでも突然変異で済むと思ったら大間違いだ。
と思ったら、保安官は冷静にも
「私は人間の仕業だと思います」
とズバリ指摘。
「おそらく
変質者の仕業ですよ」
客観的に見て、保安官の意見のほうが明らかに常識をわきまえているが、こういう場合、たいがいのモンスター映画では博士側の意見が正解なのである。まして本作の場合、すでにモンスターの姿がバッチリ出ちゃってるし。
……と思っていたら、じつは
これが罠なのであった。
衝撃の真実は本文終盤にて。
その夜、性懲りもなく浜辺で歌や踊りに興じるリチャードや仲間たち。
昼間ガールフレンドが死んでるというのにお前らは。
あるものは泳ぎ、あるものは焚き木の番をし、あるものはイチャイチャし…とめいめい盛り上がっているところに、またも怪物が現れる。
怪物は焚き木の番をしていた男によろよろと近づき…ってこの男もやっぱり
ギリギリまで気付かないのである。
たちまち押し倒されて首を絞められる男。
「ヘーーールプ!」
あらん限りの声で叫ぶものの、すぐその辺で泳いだりしてる連中は、今回も
やっぱりその声が聞こえないのであった。
真っ暗な中で、唯一の光源である焚き火のそばで怪物が大暴れしてるんだから、聞こえないにしても気付けよと思うが。
パーティーのやりすぎで
色々おかしくなったのか。
しかし、ただ一人異変に気付いた男がいた。
遅れてビーチパーティー会場に向かっていたマークだ。
彼は松葉杖をつき、不自由な足を引きずって助けに走るが、そんな状態では速度も出ない。間に合わずに男は怪物に絞め殺されてしまう。
男を殺してまたよたよた怪物が立ち去ったあと、ようやく男のもとにたどり着くマーク。
男の遺体を抱え、
「助けてください!助けてください!」
と叫ぶと、ようやく気付いたリチャードたちがやってくるのであった。
やがて駆けつけた保安官に
「君が殺したんじゃないのか」
とあまりに
無茶な嫌疑をかけられたマークは、その場にあった車を奪って逃走、そのままリチャードの家へと向かう。
家に着くや、さっそく家宅捜索を始めるマーク。
いくつかの部屋を調べた後キッチンへ向かい、おもむろに流しの下の扉を開けると、そこから転げだしてきたのは、なんと
怪物の生首だった!
生首と見えたものは、
ぬいぐるみの頭部だった。
なんと、怪物は
本当にぬいぐるみだったのである。
しかし頭部だけがここにあるということは……?
次の瞬間、
首から下だけ怪物のぬいぐるみを着た男がキッチンに飛び込んできた!
むきだしになったその顔は、なんと
オットー博士その人であった。
とっさに包丁を握ったマークは博士を刺して傷を負わせるが、逆に自分もぬいぐるみの鋭い爪で刺されてしまう。
博士は(
ぬいぐるみを着たまま)車で逃げ去り、入れ替わりにリチャードが戻ってくる。
リチャードに真相を伝えると、マークは息を引き取ったのだった。
保安官のパトカーに同乗し、逃げる父(
ぬいぐるみ着用)を追うリチャード。
父は、息子を
ちゃらんぽらんな道に引き込んだビーチパーティー仲間を憎むあまり、怪物に化けて殺人を犯していたのであった。
「人間の仕業だと思いますよ」という保安官の推理は当たっていたわけである。
カーチェイスの末、ハンドルを誤ったオットー博士は、
車とぬいぐるみもろとも崖下に転落してしまう。
爆発・炎上する車を捉えたカットで「
THE END」。
やけにぬいぐるみ然としたモンスターが出て来たなと思ったら、
「本当に中に人が入っていました」
という、ミもフタもないというか、開いた口がふさがらないオチが用意されている本作。
確かに観客の意表は突くが、同時にものすごい「まぬけ」を背負ってしまう結果となった。
なにしろ海洋学の権威である博士が、モンスターのぬいぐるみを手作りして若者を殺してたわけである。
ちょっと
『ゼブラーマン』みたいだ。
初出動のときドキドキしなかったろうか。
なお、そのオットー博士役は、ジョン・ホール監督本人。
ラスト、ぬいぐるみを着たまま車で爆走するシーンでは、衣装のまぬけぶりをものともせず、迫力溢れる素晴らしい表情を見せてくれた。
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